青洲の治療実戦記(Ⅱ)
【乳岩図譜】(乳癌治験術)の詳細 その1
青洲がその名を一躍有名にした手術があります。
それが歴史上証明できる世界初の全身麻酔下による乳癌腫瘍切除手術です。
その最初の患者である文化元(1804)年10月13日手術の藍屋 勘さんの後〈青洲逍遥 第8・9・14回に詳述〉、数年で多くの乳癌患者の手術が実施されました。
たくさんの治療事例が続く中で、門人たちからその手術の内容を詳述した記録を出版し、広く華岡青洲の外科の一端を知らせるべきであるという機運が起こりました。
その件について、2回に分けて華岡家の資料を渉猟し、考察してみたい。
今回は『乳癌治験術』と後に題簽を貼付したと思われる文献です。
当文献保存会はこの文献を仮に【乳岩図譜】と命名します。
(文責 華岡青洲文献保存会代表幹事 髙島秀典)