第十回

青洲の書(2)
(青洲の筆跡と漢籍素養の一端)

書の披露第2回目として青洲自筆の書を掲載し、その漢詩・言葉の出典と解説を試みよう。

凡例

華岡青洲は、名は震、字は伯行、通称を随賢と言った。青洲はその号である。
書画の落款の形式は、基本的には号+姓+名であるが、そのうちのどれかを省略するなどバリエーションがある。また、姓は二字を一字に省略して書くことがある。(これを省すると言う。)これは中国の一字姓に倣うものである。

〇遺墨での実例は次のようになっている。

No
1 青洲  
2 青洲    
3 青洲      
4 青洲     七十有五
5    
6      
7 落款

※今回の遺墨は1・2・3・5である。

青洲の崩し字は、一般的な崩し字のほか独自のデフォルメされた崩し字もあり、意味内容が分からなければ、字面だけでは読めないものがある。
青洲の遺墨において、落款の有るものと無いものがある。当時の知識人は揮毫を求められることが多く、これに応じるため書を書き溜めていたが、そのうち本人も納得したものには落款を署し落款印を押しているが、そうでないものや下書き・失敗したものには落款を署せず落款印を押さない。中には、内容的に完成していないが、落款を署し落款印を押しているものもある。これらは、通常本文を書くのと落款を書くのが時間的に隔たっている場合に、機械的に落款を署し落款印を押印してしまったものと考えられる。
青洲の遺墨の語句等の出典は、概ね経書(詩経・易経・春秋左氏伝・論語・孟子等)、 史書(史記等)、子書(老子・荘子等)、集書(唐詩選・三体詩等)にわたっており、自作の詩句も若干使われている。

江戸時代は知識人の教養は漢籍の素養につきますが、青洲も幾多の文人と交流していたようです。(注:次回に交流人脈その1を披露します。)
今回は第5回に続き、書によりその一端をご紹介しました。

なお、書の解読は、小原道城書道美術館 宮田副館長様にご協力をいただきました。

(文責:華岡青洲文献保存会代表幹事 髙島秀典)

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