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診断・検査・治療について Treatment

虚血性心疾患とその診断・治療について

虚血性心疾患の代表は狭心症・心筋梗塞・無症候性心筋虚血です.いずれも動脈硬化を元にして起こることが多く,日本でも食生活やライフスタイルの欧米化によりその数が年々増加しています.
動脈硬化を起こす要素としては糖尿病・高血圧・脂質異常症・喫煙などがあります.血のつながった家族で同じ病気の方がいる方の場合(家族歴のある場合)にも虚血性心疾患のリスクが増加しますので注意が必要になります.
いずれも心臓の表面にあり,心臓の筋肉に血液を送っている冠動脈に動脈硬化が起こることがベースにあります,当院では320列CT装置を用いてほとんどの場合外来検査でしっかりと病変を評価することができます.またカテーテル検査・治療が必要な場合でも多くの場合1泊2日の短期入院での治療が可能です.

虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞・無症候性心筋虚血)

虚血性心疾患とは、心臓の表面にあり心臓の筋肉に血液・酸素を送っている「冠動脈」の血液の流れが悪くなったり詰まったりすることにより,心臓に必要な血液・酸素が届かなくなることにより起こる病気です.症状をきたすもので有名なものには「狭心症」と「心筋梗塞」があり,同じような病態で症状がないものを「無症候性心筋虚血」と呼びます.
血液の流れが悪くなると心臓の酸素が足りなくなり胸の痛み等の様々な症状が出現します.この状態が一時的で元に戻るものが狭心症といい,完全に血管が詰まってしまう等して心臓の筋肉に元に戻らない壊死が起こってしまうのが心筋梗塞といいます.これらと同じことが冠動脈で起こっていても糖尿病等のために症状を感じることができないものを無症候性心筋虚血といいます.

狭心症
労作性狭心症

運動など体を動かしたときに症状が出る狭心症です.安静にしているときには症状がありません.体を動かすと心臓はより多くの血液を送らなくてはいけないため心臓の筋肉の動きが活発になり,心臓の筋肉もより多くの酸素・血液を必要とします.
この時に冠動脈に動脈硬化による粥腫(プラーク)ができて狭くなっていると十分な酸素・血液が心臓の筋肉にいきわたらず,心臓の筋肉が酸欠状態となり狭心症の症状がおこります.
代表的な症状は胸の痛みや圧迫感ですが,症状は胸だけに限らず喉・あご・左肩に感じることもあり,また胃部不快感や息切れとして感じることもあります.
多くの場合に休んでいると数分から10分くらいで症状が改善します.

※粥腫(プラーク)とは,動脈硬化のために血管の内側の壁にコレステロールなどが取り込まれてできたふくらみのことです.

安定型狭心症と不安定狭心症

狭心症の分類として安定型狭心症と不安定狭心症に分類する場合があります.

・安定型狭心症
同じよう程度の運動をすると,いつも同じ程度の症状がおこる狭心症です.多くの場合冠動脈の粥腫(プラーク)は厚い皮膜で覆われていて,粥腫による狭窄自体が症状のもとになっています.放置するといつまでも症状が取れなかったり,以下の不安定狭心症へ悪化する可能性がありますので,この段階でも安心せずにしっかりと評価が受ける必要があります.内服治療に加えカテーテル治療が有効です.

・不安定狭心症
今まで症状の無かった人で新たに症状が出る場合や,いままで症状が出なかった程度の軽い運動で症状が出るようになった場合,また運動時に加えて安静時でも狭心症の症状がでる様になった狭心症です.
冠動脈の粥腫(プラーク)が破れやすくなっていたり,既に破れて血栓ができている状況で,心筋梗塞の一歩手前の状況といえます.非常に危険な状況ですのですぐに受診をする必要があります.内服治療に加え早期のカテーテル治療が有効です.

冠攣縮性狭心症

狭心症には他に冠攣縮性狭心症があります.この場合冠動脈には目立った粥腫は無いにも関わらず心臓の表面を走行する比較的太い冠動脈が一時的に異常に収縮することにより狭心症の症状がおこります.労作性狭心症と違い夜間や朝方の安静時に症状が多く,運動による場合でも特に朝方に症状が出やすいという特徴があります.多くの場合内服治療で症状を抑え込むことができます.

心筋梗塞

冠動脈の粥腫(プラーク)が破れて血栓ができることで冠動脈が完全に閉塞して心臓の筋肉に酸素や血液が届かなくなり元に戻らない壊死が起こってしまう状況です.粥腫(プラーク)が破けることだけでなく,冠動脈の表面のびらんや冠攣縮が原因になることもあります.
症状は一般に狭心症よりも強く・長く持続し冷汗や嘔気が出ることもあります.命にかかわる状況で一刻も早い治療が必要ですので,この場合は時間をおかずにすぐに救急車を呼ぶ等しての受診が必要です.当院では24時間365日救急患者の受け入れを行っています.

無症候性心筋虚血

狭心症や心筋梗塞と同じことが心臓で起こっていても糖尿病等のためにうまく症状を感じることができない場合があり,これを無症候性心筋虚血といいます.逆に言うと症状がない間に心臓の病気が進む状況ですので動脈硬化のリスクが高い場合,つまり糖尿病・高血圧・脂質異常症・喫煙・家族歴のある場合には無症状でもあらかじめ評価をすることにより病気の発見・治療をすることが大切となります.

虚血性心疾患の検査

狭心症等の虚血性心疾患が疑われた場合に,外来ではまず心電図・心臓超音波検査・レントゲン写真などの総合的に心臓を評価する検査を行います.それに加えて冠動脈を直接評価する方法として心臓CT検査と心臓カテーテル検査があります.

心臓CT検査

以前は心臓カテーテル検査でしか冠動脈の走行や狭窄を評価できませんでしたが,心臓CTではカテーテルを使用せず造影剤を注射することで冠動脈の評価が可能です.このため心臓カテーテル検査より体の負担の少なく,外来で行える検査です.
一般に心臓CT検査では石灰化があると冠動脈の病変評価が難しいこともありましたが,当院では320列CTで石灰化を外した画像の作成を行い,多くの症例で外来での詳しい評価ができるようになっています.

心臓カテーテル検査

手首や足の付け根の動脈から細い管(カテーテル)を直接冠動脈に進め造影剤を注入することで冠動脈の詳しい評価を行います.入院が必要ですが全身麻酔の必要はなく局所麻酔で意識のある状況での検査を行っています.
心臓CTでの診断が出来るようになったため,外来検査でのCT検査で冠動脈の病変が見つかり,カテーテル治療時に一緒に行うことが多くなっています.外来CTでどうしてもはっきり診断しきれなかった場合や慢性完全閉塞病変等の複雑な病変の治療評価のために診断目的のみで行う場合もあります.

虚血性心疾患の治療

生活習慣の改善と薬物治療

虚血性心疾患の治療としては禁煙,食生活や運動習慣などの生活習慣の改善がベースになります.糖尿病・高血圧・脂質異常症がある場合,外来栄養指導や薬物療法を行っていきます.
また血栓で血管が詰まってしまわないように抗血小板薬(血液をさらさらにする薬)の内服治療や,血管を拡張させる薬での治療もあります.
ただ,狭心症でお薬だけでは症状の取れない場合や不安定狭心症等リスクの高い場合には以下のカテーテル治療が適応になります.急性心筋梗塞の場合には一刻も早いカテーテル治療が必要となります.

カテーテル治療

手首や足の付け根の動脈から細い管(カテーテル)を直接冠動脈に進め,粥腫(プラーク)で狭くなっている血管を直接広げ狭窄を解除する治療です.
風船で広げることが基本ですが,ステントという金属の網目状の筒を用いて広げた血管を保つようにしています.ステントは多くの場合薬剤溶出性ステントという,お薬でコーティングしてあるステントを用いており一度治療した部分がまた狭くなってしまう率は昔のカテーテル治療よりもかなり低下しています.
当院では,狭心症の場合 1泊2日の入院が基本で,局所麻酔で意識のある状態で治療を受けることができます.また完全閉塞病変等の複雑な病変でもカテーテルでの治療を行っています.治療時には最適なカテーテル機器を用いて治療に伴う被曝も最小限にとどめるようにしています.
また急性心筋梗塞の時には来院から治療までの時間を最小限とすることで,心臓の筋肉の壊死やその後の合併症をできるだけ小さくできる様に態勢を整えています.

心臓バイパス手術

虚血性心疾患ではほとんどの症例でカテーテル治療での治療が有効ですが,心臓の血管以外に重症の心臓の弁の病気がある場合や,冠動脈の状況により手術治療をお勧めする場合があります.この場合には適切な評価を行い,連携施設にご紹介します.

閉塞性動脈硬化症について

「歩いていると足が痛くなる!」
こういった症状の時、多くの方々は整形外科を受診されると思います。そこで精密検査の結果脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアが見つかり治療によって改善することもありますが、実は足の血管の病気が原因のこともあります。動脈硬化は全身に起きる変化で、心臓の血管なら狭心症、心筋梗塞といった病気の原因に。頭の血管に起きれば脳梗塞の原因になります。足の血管の動脈硬化は下肢閉塞性動脈硬化症といって、歩くときの下肢痛や下肢冷感の原因となります。特に同じ動脈硬化が原因なので狭心症や心筋梗塞、脳梗塞といった持病を持った方、あるいは透析中の方に合併することが多いのも特徴です。

検査

病気の発見には外来で可能な簡単な以下の検査を行います。

1、ABI検査 両手両足の血圧を同時に測定し下肢に十分な血液が流れているかどうかを判断します。(図1)

図1

【図1】ABI検査
右足のABIが0.79に低下しています。

2、下肢動脈超音波検査 血管の超音波検査で、血管の狭窄、閉塞を判断します。ドップラー検査を併用すると血流を映し出すことができます。

3、造影CT検査 造影剤を点滴しながらCTを撮像することで、血液の流れ、血管の状態などを把握します。情報量が多く治療方針を決定する場合に役立つので当院では特に力を入れている検査です。(図2、3、4)

図2

【図2】下肢造影CT検査
この画像は血管の立体的な走行の把握に有用です。
右足大腿部の血管に強い石灰化(動脈硬化の変化)があります。

図3

【図3】下肢造影CT検査
この画像は血管の立体的な走行の把握に有用です。
右足大腿部の血管に強い石灰化(動脈硬化の変化)があります。

図4

【図4】下肢造影CT検査
サブトラクションという画像の処理を行うと、血流が途絶えており、血管が完全に閉塞していることがわかります。

治療

治療には、薬物治療、運動療法、カテーテル治療、バイパス手術、血管新生療法などがありますが、短期間の入院で血流の改善が望めるカテーテル治療は患者負担と治療効果の面から優れた治療法と言えます。(図5、6)

図5

【図5】下肢造影カテーテル検査
カテーテルによる血管造影検査ですが、CT検査
同様に閉塞していることがわかります。

図6

【図6】下肢造影カテーテル治療後
カテーテル治療を行い、血流再開いたしました。

治療後は血流の良い状態を維持するために薬物治療、運動療法を併用致します。治療後の経過観察は上記の検査を行って再発がないかを判断致します(図7、8)

図7

【図7】治療後ABI検査
右足のABIが1.02に改善しています。

図8

【図8】治療後CT検査
血流が維持されていることがわかります。
CT検査は治療後の経過観察するにも有用です。

足の症状が気になる場合は是非ご相談ください。

当院の不整脈の診療

1. 不整脈の症状は様々で、診断が難しいこともあります。

一口に不整脈といっても脈が速くなるものから遅くなるもの、不規則になるものなど種類があり、症状は多様です。
動悸やめまいなどよく知られているものから胸痛や吐き気、失神など他の病気と紛らわしいものもあります。
発作的に起こるものではさらに発見が難しく、過労やストレス、自律神経系の乱れからくる症状と考えられ見過ごされている場合もあります。
当院では通常の循環器検査以外にも、ホルター心電図、遅延電位心電図など不整脈に特化した検査を外来で行います。また、入院して薬物やカテーテル刺激で不整脈を誘発するなどより詳細な検査を受けることが可能です。

2. 近年の高齢化に伴い、患者数も増加しています。充実した老後を過ごすために不整脈の
  マネージメントは欠かせないこともわかってきました。

高齢化社会に突入し、不整脈を持っている患者さんの割合も増加傾向です。
特に心房細動という不整脈は加齢に伴い増加し、それ自体は致命的ではないので有病率は上昇傾向です。自覚症状は少ないこともあり、気づかずに過ごしている方も多いと言われています。
しかし、心不全や脳梗塞といった生命に関わり、生活の質を大きく損なう疾患の原因になるので、早期発見と対処が望ましいです。
心房細動が心配な方、心房細動と言われたことがある方はぜひご相談下さい。

3. 不整脈は循環器診療の中でも近年目覚ましい発展を遂げた分野です。

不整脈の治療内容は大きく分けて以下の3つになります。
それぞれの領域でここ10−20年で大きな進歩が見られ、患者さんにより効果的で安全な治療を受けて頂けるようになりました。

(1)内服治療

不整脈を抑える薬(抗不整脈薬)も改良され、より有効性安全性の高いものが増えています。
また不整脈からの脳梗塞を予防する薬(抗凝固薬)も予防効果が高く出血を起こしにくいものが使われるようになってきました。

(2)デバイス治療

通常のペースメーカーの普及や小型化は言うまでもなく、危険な不整脈を治療する機能(植え込み型除細動器)や心不全の治療機能(両心室ペーシングを行うCRT)を備えたデバイスが導入されました。

(3)カテーテルアブレーション

不整脈を薬で抑えるだけではなく、カテーテルで不整脈の原因を焼灼するアブレーションが行われ、根治治療ができるものが増えています。
病態によって全身麻酔下でのアブレーションも行なっています。

当院では患者さんの状態を評価したのち、上記の中から最適な治療法を選択しお勧めしております。

4. 不整脈の知識を備えた多職種のスタッフが診療に携わっています。

上記のように多岐に渡る診断治療を行うために、当院では不整脈の専門知識を備えた不整脈専門医が3人常勤しております。また、循環器及び不整脈の経験を重ねた看護師が外来と病棟に勤務しております。
他外来での検査やデバイス/アブレーション治療に携わる放射線技師、医療工学士(Medical Engineer)、生理検査技師も複数勤務しており、チーム医療で取り組む体制を目指しています。

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